上り続けること10分。

『よーしついた。』

「…これ」

目の前には街の夜景が広がっていた。


『これ、見せたくてさ。』

「きれー…  ありがとう!」

思わず見入ってしまった。

『とりあえず、すわろうぜ』


「あ、うん。」

近くにあったベンチにすわった。


その途端、彼の手が私の肩にのび、抱き寄せられた。

「…え?」


『いいからちょっとこのままな。』

「…」


私は何も言わずただ、彼に身を任せたまま夜景を見つめた。




人のぬくもりとはこんなに温かいものだったのかと思うと涙があふれた。