「ふーん?じゃあいいや~」 わざと声のトーンを落として、梓衣を抜かして数歩先を歩く。 もちろん右手は空けたまま。ブラブラ空中をさ迷ってる。 歩くスピードはゆっくり。 すると、しばらくして、梓衣の追い掛けて来る足音と、小さな溜め息が聞こえて。 ちょっとイジメ過ぎたかな? 反省してチラリと後ろの梓衣を振り返ると、今にも泣き出しそうな顔。 ……その姿が可愛くて、笑みが零れてしまうんだ。