何のオーディションかというと。


毎年恒例、文化祭での演劇のオーディションだ。


この演劇は、2年生全体で作り上げる事になっている。


キャストは全て、オーディションで決まる。


教師達の前で課題曲を歌う。


そして、少しの演技とダンス。


実力の無い者は、歌の途中ではじかれる。


そうして生き残り、メインキャストに抜擢された生徒には……。


必ず、有名な劇団や芸能事務所からのスカウトが来るという。


というわけで……。


授業の時間だけでは足りず、放課後も皆練習に励むのだ。


涼介は、同じクラスの生徒。


長めの茶髪に金のメッシュが入った、なんともチャラい男だけど。


彼も役者希望だけあり、顔は整っている。


「これで役を取るのが、一番堅いんだよな。

スカウトのやつらも、一応学校通すわけだから」