「没収!」


「えー……」


「だって、パニクって全部飲んだら大変じゃない!」


「そんなことしないって……

それ3種類ないと、俺の睡眠やばいんだって……」



珍しく弱った顔をした、ちぃの可愛さにだまされちゃダメ。

あたしは心を鬼にして、袋を奪った。 



「あたしが毎日、一日分だけ教室に届けてあげる。

それならいいでしょ?」


「ダーメ。返しなさい」


「やだー」


「ほら、返せって」


「あっ」



立ち上がったちぃに、無理やり袋を奪われそうになって。


気がつけば、壁際に追い込まれていた。


細いけど、確実にあたしより大きな手で、両腕をつかまれる。


また床に、あたしの手から離れた薬が散乱してしまった。


壁に押し付けられるような形になったあたしに、ちぃが囁く。



「……本当に、あまり可愛いことばかり言わないで」


「何を……」


「俺に深入りしちゃダメだよ」



その顔は、笑っているようだけど……。


泣いているようにも見えた。