「あいつの言ってたことはね、ホント。

俺、本当に短い間だけど、子役してた」



千影くん……ちぃは、こちらを見ないで言った。



「まさか、覚えてるやつがいるとはな……

やっぱ、これだけの美少年は一度見たら忘れられないか」


「自分で言うー?」


「はは、ありがとう。ツッコんでくれて嬉しい」



突然くしゃくしゃと頭をなでられて、思わず目を瞑る。


まぶたの向こうで、ちぃのいつもより低い声がした。



「……あまり、探らないでほしいんだ。

もう、とっくに引退した。

芸能界にいたなんて、過去の栄光だから」


「…………」


「頼むよ……

お願いだから、ひなたは、今の俺だけ見て」



顔を上げると、


ちぃはいつもの顔で笑っていた。



「うん……」


「とっておきの秘密だったのに。

長島、お仕置きしなきゃな」


「まさか……舐めるの!?」


「お前、今すっごいエロい想像した?

俺、長島のどこを舐めるのさ?」


「コラーッ!!」