チラ、と赤い舌がのぞいたと思ったら。


ぺろり。



「!?」



なんと、千影くんはあたしの傷口を舐めてしまった。



「ひ、ひいいいい!!」


「なに?」


「な、なめ、なめ……」


「うん。ちょっと血出てたから」


「蜜とか血とか、水分と見れば何でも舐めるのかー!!」



一瞬にして火照った顔で叫ぶと、千影くんは笑った。



「照れてるんだ。可愛い」


「かっ、可愛いとか言わないっ!」


「いーじゃん。可愛いな、ひなたは」


「バカにすんな!」


「してないよ。けど、これはお仕置き」


「は?」



ぱく。


千影くんは、あたしの傷ついた指を、口に含んでしまった。



「や、やああっ!何してんの!?」



べし。


思わずその頭を叩くと、千影くんは不満そうに口を離した。