やっぱり梨華さんには嘘はつけないね…。
梨華さんは、いつもあたしのちょっとした変化に気付いちゃうんだ。

あたしは梨華さんに龍がイギリスに行くことを話した。



『龍…がね、イギリスに…行っちゃうんだって…っ…』

「え…?」

『仕事で…2ヶ月くらい…』

「だから元気なかったの?」


梨華さんはあたしの部屋に入り、ソファに腰を下ろした。


『うん…。龍にはね…頑張ってって言ったの…っ…お仕事だからって…。でも…っ、本当は、不安で淋しいのっ…。2ヶ月も会えないなんて無理だよぉ…っ』


あたしはそう言って泣き崩れた。
梨華さんはそんなあたしを優しく抱き締めてくれた。


2ヶ月会えないくらいで大袈裟だって思うかもしれない。
だけど、あたしは不安でしかたないんだ。

今までもコンサートなんかで1ヶ月以上会えないことがあった。
だけどそれは、少なくとも龍は日本にいた。
でも今度はイギリス。
海を渡った遠いところ。

あたしはそれだけで、龍が日本にいないってだけでこんなに淋しく感じてしまうんだ。


「でもね唯ちゃん、龍君と付き合っていくなら、これからもそういうことはたくさんあるんだよ?」

『…っ…でもっ』

「その度にこうやって泣いてちゃ駄目だと思う」

『…』


あたしは梨華さんの言葉になにも言えなかった。

梨華さんが言っていることは正しい。