パドマは不振に思いましたが、自国のためにアダムをイルテミナに渡します。



「イルテミナ。アダムは<双極>…イヴと一つの存在です。その片方では…」



「わかっておる。だが、どちらもそなたから奪うのは酷というものだろう?」



天界を支えるのは、柱に張り付けられたイヴとアダムの力あってのこと。



二人こそ、天界の柱そのもの。



その柱一つが欠けても、天界が陥落するよりはいいと考えたパドマだが、イルテミナはそんなパドマに冷たい目を向ける。



「自分が最初に作った友人をそうも簡単に渡すとは…地に落ちたな。パドマ」



「どう言われても構いません。今は天界の存続が最優先なのです」



慄然としたパドマ。だが横顔はとてもさみしそうで…



「…ふん、わかった。地上の王を落とす、それだけ力を貸してやる」



イルテミナのその言葉で交渉は成立した。