幼い頃から私には不思議な力があった。
例えば変な―――普通の人には見えないような―――
ものが見えたり、
怪我や病気を治すことが出来たり、
とにかく普通の人には出来ないような事が出来た。
勿論私は幼かったから他の人も自分と同じことが出来ると思いこんでいた。
だからわざわざ人に話したりとかはしなかった。
他の人には出来ないと知ったのは小学生になったばかりの頃だった。
取りあえず両親に相談した。
幼かった私にはそれが一番最善だと考えたらしい。
両親に相談をすると、2人とも困ったような表情をするので、どうしたのかと思っていると、2人は
『絶対にこの事は他の人には言ってはいけないよ』
と言った。
何故かと聞くと、2人は曖昧に笑い、こう言った――――――
『それはね…リリアが、*******だからだよ――――――――――。』
父がこう言った所で、私の記憶は一回途絶えている。
そして、この父の言っていたことを思い出すのは、私がこの夢を見た日だった――――――。
ふわぁぁ〜
それにしても久しぶりに懐かしい夢をみたなぁと欠伸をして伸びをしながら時計を見ると、7時50分だった。
そこで私はかなりやばい時間だということに気がつく。
「あぁあああああああ!!!やばい!!後10分で出ないと間に合わない!!!」
そう言いながら着替えていると、
ピーンポーン♪
とチャイムがなったので、窓を覗いて誰だか確認すると、
知らない男の人が家の前に立っていた。
(今時間ないしどうしよう…)
考えた結果居留守を使うことにした。
(申し訳ないけど、時間ないししょうがないよね♪)
そう思いながら、家の戸締まりをキチンとして、久しぶりにこの力を使うことにした。
目を閉じて学校の屋上を思い描く。
そして、目を開ければそこはもう――――――――――――学校の屋上。
走って教室に向かうと、誰かとすれ違った気がした。
(あれ?今誰かとすれ違った気がするんだけど…)
取りあえず気になりつつも教室に入ると丁度チャイムがなったので席に座った。
その後、あのすれ違った人が少し気になったけれど、授業を受けていたらすっかり忘れてしまった。
時間はあっという間に過ぎ、いつの間にか放課後になっていた。
帰る支度をしていると、
「おーい!リィー♪」
と、友達の佐倉 凛(私は凛って呼んでる)が呼んでいた。
「どうしたの?凛」
凛とは家の方向が一緒だから帰りはいつも一緒に帰っている。
だから呼ぶってことはなんかあったんだなぁーと思っていると、案の定、
「実はねー今日下駄箱にラブレターが三通入っててねー、全部今日の放課後に別の場所に呼び出されてるのー」
凛ははっきり言ってかなりの美人だ。だから毎日10人以上に告白されている。
今日も私はお昼休みの時とかに告白されている凛を数えるのがうざくなるほどに見ていた。
(実はリリアもかなりの美人さんなのだが本人は全く気づいていない。
というか親衛隊が告白をすべて阻止している。
勿論本人はそのことに関しても全く気づいていない。)
「また!?(笑)でも今日は少な目だし一緒に帰れるね♪」
「うん♪でもリリア今日買い物行く日じゃなかったけ?」
「あっ!そうだった!!」
そう思って時計をみると、タイムセールの時間まで後30分だった。
「やばい!!タイムセールまで後30分だっ!!ごめん凛!じゃあ私帰るね!!本当に気を付けてね!!じゃっっ!!」
そう言って私はカバンを持って走った。
後ろから凛の「がんばってねー」という声が聞こえてきた。
そして、私が凛と一緒に帰れば良かったと思うのは、学校を出てすぐのことだった。
学校を出たら私は近道をしようと思って、曲がると、今日の朝チャイムを鳴らしていた男の人がいた。
(あっチャイムの人!こんな所でどうしたんだろう?)
そう思いながらその人の横を通り過ぎようとすると、
(あれ……?何かフラフラす…る……………………)
急に眠気に襲われた私はその場に倒れてしまった。
(ここは……?)
そこで私は倒れてしまったことを思い出した。
(そうだ…私倒れて……)
それにしてもここは何処だろうと思っていると、
「起きましたか?」
という声が。
反射的に私は
「はい」
と返事をしてしまった。
そうすると、声の主が部屋に入ってきた。
その入ってきた人をじっと見ていると、
「えっと、私の顔に何か付いていますか?」
はっ!
全く知らない人だったからガン見してしまった。
「あっ、いえ、すみません。それで……その、ここはいったい……?」
正直言ってこんな所は来たことがない。
軽くパニック状態になってあわあわとしていると、さっき入ってきた人が最初の問いに答えてくれた。
「ここはアルメリアの中に唯一ある学園、シャイナス魔法学園の理事長宅です。何故こんな所に?、と思っているかもしれませんが、そのことは理事長自ら説明なさるそうです。取り敢えず朝食をお持ちしましたのでどうぞ。それから着替えは其処にあるクローゼットの中から好きなものを。では、失礼します。」
そうマシンガントークで言って、その男の人は立ち去っていった。
本当にあっという間だった。
その後朝食が机の上に置いてある事に気づき、この空腹感を満たすために朝食を食べることにした。
余談だが、クローゼットに入っていた服はどれもピッタシで、軽く戦慄したのは記憶に新しい。
今、私は無駄に豪華な理事長室の扉の前にセシルと一緒に立っていた。
セシルといのは、さっきのマシンガントークの人だ。教師として新任だったために、なにに対しても無駄に緊張してしまいマシンガントークになってしまうらしい。因みにフルネームは、セシル・レグナムという。
「失礼します。
リリアさんを連れてきました。」
「はぁ………、セシル、お前緊張し過ぎだろ……………。まぁいい、入ってこい。」
「失礼します。」
「失礼し……………あぁ!!チャイムの人!!」
「よっ!」
私達が入ると其処にはチャイムの人(リリア命名)がいた。
私がテンパっていると、
「取り敢えず言いたいことも沢山あるだろうが、まずは聞いてほしい。その上で質問したいことがあるならば、此方が答えることが出来る範囲のみ答えよう。」
「それはつまり答えることが出来ない場合もある、ということで?」
「そう言うことだ。」
「分かったよ。
聞くだけ聞くわ。」
「そうか…。
じゃあ、単刀直入に言うよ。君は、“世界の鍵”だ。」
「はぁっ?」
かなり意味が分からない。
「意味が分からないかも知れないが、まずは聞いてくれ。」
後で絶対に訊いてやると心に決め、コクリと頷いた。
「まず、世界の鍵は二人、“創造の鍵”と“破壊の鍵”がいる。みる限りだと破壊の鍵が一番強いと思うかもしれないが、創造の鍵は破壊の鍵の“全てを破壊する”をも打ち消す“delete――削除――”を持っているから創造の鍵が一番強い。」
じゃあ破壊の鍵いらないと思うのだけれど………。
「破壊の鍵いらなくないか?と思うかもしれない。しかし、何でも創られすぎはいけないんだよ。其処でバランスを保つために、破壊の鍵が必要なんだ。でも、破壊してはいけないものを破壊してしまったらそれはそれでバランスを崩してしまう。其処で、deleteで‘してしまった’という事実を消して、‘していない’にするんだ。」
「確認だけど、私はどっちなの?」
「あぁ、言ってなかったな。君は創造の鍵の方だ。」
「理由は?」
「理由は君があちらにいた事が理由だ。」
「あちら?」
「この世界ではない世界。それがあちらの世界だ。正直、世界の名前なんて知らないからな。」
まぁ確かにね。