二人は恋人だった。
それはたいそう仲が良くて
もうみんながからかわなくなるくらい。
でも
二人は違っていた。
何かが。
言葉にできない何か。
那子は忘れていく。
謙斗のことを。
それを謙斗は悲しく思っていた。
その気持ちは毎日ちょっとずつ
大きく
大きく。
那子の頭の中はちがうことだらけ。
それが謙斗には悲しかった。
でもどうしようもない。
もう那子は笑ってくれない。
僕のこと忘れちゃったから。
でもね
僕は那子のことすっごく好きだから
忘れられない。
もうちょっと好きでいさせて。
もうちょっとだけ。