「あんたたち突然話さなくなったよねー」
出席番号順に決められた席に着きながら、彩が言う。
「そんなことないよ」
あたしは彩の前の席にカバンを置いて答えた。
名字が“平岡”と“星野”だから、あたしたちは出席番号だとたいてい前後の席。
「だって喧嘩すらしなくなったじゃん」
「いいことじゃん」
あたしは、彩に背中を向けたまま言った。
「そーゆーことじゃなくてー」
彩が後ろからあたしの制服の袖を引っ張った。
「じゃぁ、どーゆーこと?」
あたしが彩のほうを振り返ると、彩は。あたしの目をまっすぐ見た。
「裕香のこと、気にしてんでしょ?」
やっぱり、彩は鋭い。
_ キーン コーン _
あたしが答えをためらっていると、タイミングよくチャイムが鳴った。