何秒か立ち止まっていたあたしたちは、どちらからともなく目をそらすと、大谷は3組の教室に入っていった。
―・・カツン
歩き出そうとしたあたしの足に、何かが当たる。
「・・ぁ」
ぶつかったひょうしにとれてしまったんだろう・・
“大谷”
と書かれた名札が落ちている。
「大た・・」
あたしは3組の教室を覗いて“大谷”と言いかけて口をつぐむ。
「これ、大谷に渡しといて!」
あたしは振り返ると、大谷の名札を裕香に手渡した。
「え、これ・・」
「じゃぁ、また後でね!」
裕香は何か言いかけていたけど、あたしは彩の手を引いて4組の教室に入った。