「部活、行っていいよ。あたしやっていくから」


放課後、準備の日以来、初めて交わした言葉。



「―・・お前さぁ、俺のこと避けてない?」


数秒間の沈黙の後、大谷が言った。


「・・別に」


あたしは、預かった感想文とクラス名簿に目を向けながら言う。


「ウソつけよ」

「ついてない、ウソなんか・・」


「・・じゃぁ、こっち見ろよ」


大谷はあたしの机の前にしゃがみこんだ。


「・・・・・」


ダメだ・・

今、大谷のほうを見たら


絶対に泣く・・



「なぁ、平岡」

「―・・!!」


大谷が、ペンを握っていたあたしの手を引っ張る。




_ バシッ _


教室に響いた、鈍い音。



「さわんないで・・!!」


自分が大谷の手を振り払ったと、気付くのに数秒かかった。