あたしたちがやってきたのは、大谷が教えてくれた場所。
非常階段、屋上への踊り場。
「やっぱ、ココいいわ」
大谷は、そう言って階段に座った。
―・・なんでだろう。
今さらになって、裕香への罪悪感がこみ上げてくる。
「平岡?」
立ち止まって、俯いているあたしに大谷が声をかけた。
「・・え!?」
「座れば?」
大谷は自分の隣をポンポンっと叩く。
「・・あ、うん」
少し迷って、大谷が座る階段の一段上に腰をおろした。
それから、またくだらないことを話した。
大谷はよくしゃべる。
とくに、部活の話をするときなんかたすごく楽しそうに。
ときには、男バレの1年が女バスの1年が好きで毎日見てる
・・・なんて爆弾発言も。
そんなことあたしに言ってもいいの!?
なんて、たまにツッコんだりもするけど、あたしはずっと大谷の話を笑って聞いていた。
裕香への罪悪感も、いつの間にかなくなっていた・・・