「・・平岡?」


どれくらい、こうしていたんだろう。

夢の中へと入りかけていたあたしは、聞きなれた声に、顔を上げた。



「・・・大谷」


大谷が、ドアにもたれかかってこっちを見ていた。


「お前、何してんの?」

「いや・・別に・・・」

「授業は?」

「・・いかない」

「サボりかよ」

「うるさいな。あんたこそ何してんの?」

「忘れ物~」


そう言って、大谷は机の中を探りはじめた。


「あ、っそ」


「・・あった。じゃ、俺行くわ」


大谷は、手に持ったノートをヒラヒラとふって出て行った。


再び、静かになった教室。



「・・・ハァ」


また、ため息が出る。


ため息をつくと寿命が何秒だか縮むって言うけど・・・
あたし最近増えたなぁ、ため息。





_ ガラッ _



そんなことを考えていると、勢いよく開いた、教室のドア。