「そっか、なんかゴメンね・・」


気まずい雰囲気を察してか、裕香は先に教室を出て行った。



「・・・ゴメンね、か」


謝るのはあたしのほうなのに・・・



「ハァ~・・」


誰もいなくなった教室で、あたしは一人、大きなため息をついた。



あと1分程度で、始業のチャイムが鳴る。
でも、授業に出る気はしなかった。

頬杖をついて、窓の外を見る。





どうしてこんなに苦しいんだろう。
どうしてこんなに切ないんだろう。


いろんな感情が混ざって、今にも溢れ出してきそうだ。


それを抑えるかのように、あたしは机に顔を伏せ、目を閉じた。




――・・

―・・


始業のチャイムが鳴る。






遠くの教室から、号令の声が聞こえた。