大谷と隣の席になってから、あっという間に1ヶ月が過ぎた。

文化祭まで、あと2週間。
今日もこのあとは実行委員の仕事がある。



「麻耶、部活行こう!」


そう言って、裕香と彩がかけよってきた。


「ゴメン。今日もたぶん行けない」

「実行委員?麻耶が来ないとリッサンの機嫌が悪くなるんだけど・・・」


そう言って、彩は少し困った顔をした。


“リッサン”と言うのは、女バスの顧問。
本名は木下律子(キノシタリツコ)で年は確か30後半だったきがする。
“りっちゃん”なんて可愛く呼ばれる年でもないので、生徒はみんなそう呼んでいる。

もちろん、本人の前では“先生”だけど。


「そんなこと言ったって・・実行委員なっちゃったし」

「いいなぁ!大谷と2人で実行委員!!」


裕香はそう言って頬をふくらませる。


「じゃぁ、裕香が変わってよ」


あたしはため息混じりに言った。


「それは遠慮しとく~♪」


裕香はそう言ってにっこり笑った。


「じゃぁ、リッサンには言っとくよ。頑張って~」



そう言って、彩と裕香は体育館に向かった。