―・・・パシッ



大谷が、こっちに向かって何かを投げる。


あたしは咄嗟に、それをキャッチした。



「お、さすがバスケ部。いい反射神経!」


そう言って、大谷が笑った。

・・・いつもの、いたずらっぽい笑顔。


あたしの手の中に納まっていたのは

【マイルド ミルクココア】



「・・・悪かったな。今朝」


それだけ言うと、大谷はネットの向こうへ走って行った。




「えぇ!何で麻耶だけ!?」


裕香はまた頬を膨らませる。


「ほら、言ったでしょ?そんなに嫌な奴じゃないって」


彩はそう言って、あたしの肩をポンッと叩いた。



「あたし飲まないよ、こんな甘いの」



あたしは甘いものが苦手。

それでも、大谷がくれたココアを空けて一気に飲んだ。


「―・・甘い」


そう言って、あたしは少し苦笑い。


そのまま、体育館のゴミ箱に向かってココアの缶を投げた。



―・・カラン

ココアの缶は、きれいにゴミ箱に収まった。



なんかスッキリした。

“よし!”
と小さく気合を入れて、あたしは叫んだ。


「集合ー!!!」