「あぁ~・・・また伸びちゃった」


朝のSHRで配られた、2学期の健康診断書。

あたしの身長は168cm。
夏休みの間に、3cmも伸びてしまったらしい・・・。


「ヤバイ。170超えたらどうしよう・・」


“大谷のこと好きになっちゃった”

“背高いし、よく見たらカッコイイし!”


ふと、裕香の言葉を思い出した。



「すげぇ!3cm伸びた!!」


なんて、あたしの隣で騒いでいるバカはもちろん大谷。


確かに、身長150cm前後の小柄な裕香からすれば、身長170cm近い男子は魅力的だろう。
だからといって、それが大谷ってのは理解できないが・・・。


あたしは隣に座る大谷を見つめた。


「なに朝からガン飛ばしてんだよ」


あたしの視線に気付いた大谷が、いつもの口調で言う。


「別に」


やっぱり、裕香のタイプというのは理解できない。


「なんだよ。あ、お前身長何センチ!?」

「言わないよ。関係ないじゃん」

「教えろよー。俺、170!」

「聞いてないし」


ヤバイ・・
あたしと2cmしか変わんない・・


「なぁー、何センチ??」


「・・・168」


これ以上隠してもムダだと感じたあたしは、小さな声で言った。