―・・ガコンッ


あたしの放ったボールが、ゴール手前のリングにはじき返される。

今日はフリースローが決まらない。


「はぁ~・・一週間も部活に出ないとやっぱ鈍るか」


あたしは、落ちてきたボールを拾い上げなから呟いた。




「キャプテン!今日は不調かぁ~!?」


突然の大声に、あたしはビクッとして声のするほうを振り返った。

・・・大谷だ。


「うるさいなぁ。ほっといてよ」


席が隣になってからというもの、大谷は男バレが休憩に入るたびにちょっかいを出しに来る。


「一週間出てねぇくらいで鈍ってんじゃねーよ」


大谷はニタッと笑った。


「自分だって、さっきサーブミスしてたくせに!」


そう言って、持っていたボールを大谷に向かって投げつけた。


―・・バシッ

あたしの投げたボールが、ネットに当たってまたあたしのほうに転がってくる。


「うおッ、怖えぇ~!ま、頑張れよ!」


それだけ言うと、大谷はバレー部のコートに戻っていった。


何しにきたのよ、アイツ・・



あたしは再び、ゴールに向かってボールを放つ。


―・・

今日初めて、あたしのフリースローが決まった。




「頑張れよ、か・・・」

大谷の言葉を思い出して、なぜだか少し笑みがこぼれた。