えりなのグループに
よる遥香へのいじめは

一ヶ月半前ぐらいから
自然に始まった。

思春期で難しい年頃の
女の子の時期。

いじめには2つある。

1つはみんなに同情
される者。

1つは同情されない者

遥香は同情されない者。
可愛い子とか
性格のいい子とか
つまりみんなから
嫌われてない子
だったら

誰かが横から入って
来て
いじめを止めていた
かもしれない。

でも遥香はそういう子
じゃない。

遥香は雰囲気が暗くて
クラスに友達が1人も
いない。

勉強も運動も出来なく
顔なんて最悪だ。

そんなクラス一のブス

しかも暗くて孤独な
ブスがいじめられた
ところで
誰も同情しない。

えりな達だけじゃなく
みんな遥香を嫌ってる

何も悪いことは
しなくても

誰かの気分を損ねる
ことを言わなくても

遥香はそこにいるだけ
でとことん嫌われる。

遥香の雰囲気が
遥香の放つオーラが
みんなの"嫌い"を
刺激している。
"やっぱりさ
いじめられる側にも
悪いとこあると思う"

"いじめられてても
ただ黙って

何も言い返さないから
またいじめられるだけ

嫌。やめてって
ちゃんと言やいいのに"
二学期になって
しばらくしてから
えりな達は遥香を
いじめるという
"遊び"を始めた。

一学期の頃のような
これから新しい一年が
始まるという
ワクワク感はなく。

楽しい夏休みが終わり
少しずつ明るい時間が
短くなっていく
季節の中退屈なんだと
思う。

でもその悪いことを
心から楽しんでる
えりな達の残酷そうな
笑顔を見ていると

先生に密告したりとか
とても出来なかった。

うちはやっぱり
えりな達が怖い。

ただ、かわいくない。
性格が暗い。
動きがトロくて
運動が出来ない。

そういう事十分だ。

大人の世界には
格差社会という言葉が
あるけれど

子供達の間では
もっと残酷ではっきり
した格差がある。

可愛くない子や暗い子
何かと理由をつけられ
嫌われれる。

可愛い子や明るい子
ばかりが得をする。

可愛い子や明るい子は
いつも人に囲まれて

友達がいっぱいいて
男子に告白されたり
先生に目をかけられ

生まれ持った容姿や
性格の差で
教室の立ち位置が決定
遥香を本当は助けたい
うち。
えりな達が怖くて
何も出来ないうち。

本当の気持ちは一つ
じゃなくて複雑に
絡み合っていて
心をぎゅうぎゅうと
締めつける。
遥香の姿を探してみる
けど教室の中にはない

このクラスにも
他のクラスにも
友達のいない遥香。

昼休みは教室にいない
事が多いけど
どこにいるんだろう。

行き場なんてないの
かもしれない。
でもここにいたくない
気持ちはわかる。