今度こそ帰ろう。


そう後ろを振り返った―



「…ん?」



菜々は目を見張った。



一番後ろの席に、女子生徒が座っている。




こんな時間なのに…


菜々は不信に思った。



長く伸びた黒い髪の毛が、俯いているせいで顔を覆っていた。

制服はこの学校のものらしいが、ひどく汚れていた。



「あの…」


反応はない。