グランドに戻るとさっきより
仲良くなった蘭君とマミりんの
姿を見つけた。
「マミりん…」
大きな声で叫ぼうとしていたけど、廉は結乃の口を塞いだ。
「邪魔するな…教室戻るか…」
廉に言われるまま結乃は
廉の後ろについて教室まで
行った。
教室には誰もいなくて、
屋上より教室のが良かったな
なんて話をしたり…
自分の席に座り
黒板に書かれた落書きを
じっくりと眺めた。
"二組の友情半端ねぇぞ"
"美羽好きだー"
あっくん…本当に美羽の事
大好きなんだ。
幸せになってね。
黒板の落書きに集中していると、聞き覚えのある着信音が教室に
鳴り響くー…………。
「もしもし…あぁ…ユミ…」
ズキッー
今、一番聞きたくない名前。
嫌だ。
「今、体育祭の打ち上げで…」
「あぁ…終わったら家に行く…っえ?」
廉はビックリしている。
彼女も受話器越しで不思議がってる。
そりゃそうだ。
だって…結乃また、廉に
抱きついてるからー…………
「どうしたの?」
受話器の向こうで彼女が問う。
「………なんでもない、わりぃ、またかけ直すな」
涙はさっきよりも大量に
溢れだす。結乃だってワケわからない。
自分でどうしたいのかも分からないまんま…
電話を切った廉は
「どうした?」
しか聞いてこなくて余計
虚しくなった。
結乃の気持ちに気づいていない
そう思うと悲しくてたまらなかった。