手を振り、満足した顔で去っていく彼女達。
姿が見えなくなった所で、矢部先輩は部長の肩にソッと手を置いた。
「大丈夫…?」
「あ、あぁ…ありがとな、助かった」
「いつも俺がお世話になっているからね。このくらい、当然だよ。それに、俺にとってホントに必要だからね、放送部は。」
「ハハ…必要とされるほど、嬉しいことはないね」
歩き出した部長の足取りはおぼつかず、震えているようだった。
そんな部長を見た矢部先輩は、部長の肩を引き寄せて歩き出した。
「あ、ちょっと!離して!」
「良いじゃないか。倒れてもらっちゃ困るし」
「倒れないって!」
「はいはい、無理しない」
結局、押しきられた部長は頬を赤く染めながら、放送室まで先輩と歩いていった。
けっこう、良いんじゃないか?この二人。