子供達が出てきました。私自身もどこにいるんだろうと、彼を探していました。《まあ、後ろで先生が抱っこして来るんだろうな》

だからその姿を思い浮かべながら、なかなか見つけられずにいたとき、泣いている声が聞こえたんです。

隣で座っている妻でした。目からは大粒の涙を流し、もう止められない気持ちが溢れていました。
彼を見つけた瞬間、妻の彼への愛情の大きさが、彼を育てるにあたり頑張ったものが、自分との闘いにかつことの辛さが、母親としての温かさが、いろんな事が混ざり合い、妻の涙になっていました。私も少なからず、妻の気持ちがわかりました。やはり男親は仕事という名目で外に出てしまう。
母親が一番彼との時間が長く接しているから、体調や彼の動きでわかることが多い。
遠くから見える彼に対し、思いが溢れてしまうのは、やはり人として母として彼と正面からぶつかり、逃げずに闘っているからこそなんだと私は思いました。

そして私も彼を探し、妻の涙の意味が更に私の心に深く飛び込んで来ました。

驚く事に彼は最後尾をゆっくりとですが、先生と手を繋ぎ、歩いているんです。目を疑いました。
この大勢の人の中でしっかりと自分の足で進んでいたんです。