夕日を浴びた本土の街並みが一つ一つ灯りがつき始め、淡い光を放っている景色は絶景でした。
体はヘトヘトでしたが、心満たされ、疲れも心地良いものでした。
彼も相当疲れていたんでしょう、船が波に揺られ、まるで揺りかごに乗っているような、気持ち良さそうな顔で寝ていました。

私も風と夕日、夜景の中でウトウトと。
また一つ胸に刻まれていました。

暑い夏から赤トンボが舞う秋へと季節が変わり、施設も夏休みが終わりました。
またリズムを整えての挑戦が始まりました。

彼の現状など妻と先生はかなり話し合いを持ちながら、施設と家とで同じ方向性を持つようにしたんです。

まず始めに行ったのは、彼は甘えん坊で駄々をこねる事を知っているかの如く、歩きたくなくなれば座り込み、なかなか動きません。自分が嫌いな物に対しては、大声で泣き叫ぶ。直ぐに抱っこをせがむといったように、人恋しいといいますか、私達もいけなかったんですが、あやす事を全て、抱っこしてきていたのです。奇声をあげたり、座り込んだりした時は、移動に手間がかかってしまうので、私達が一番楽な手段を選んでいたのです。

しかし歩けるようになってきていましたし、一番は彼が大きくなっていく過程で、妻がずっと抱っこは出来ないということ、そして抱っこ離れをさせるのは、このタイミングだという結論に達し、皆が皆協力の元、プロジェクトが始まりました。