妻のお腹には新しい家族がいるので、あまり無理はさせないように心掛けながら、彼の様子もうかがっていました。
島にあるプールに行き彼と泳ごうと思いました。
妻はお腹の子を気遣いながら、日陰で時間を楽しみ、私はというと、彼を連れてプールで遊ぼうとしました。
そこでなんとプールの水が塩水なんですよ。
驚きました、しょっぱいんです。
だから潜って目を開けると痛いのなんの。

彼は薬の副作用かは分かりませんが、肘や膝の関節部位にアトピー性の皮膚炎が出ていたので、塩水はいいかも知れないと勝手に思い込み、いざプールへ。

いや(泣)は叫ぶはで最初は大変でした。妻も私の行動を見かねて、
《無理はさせないでよ、発作でも起こしたらどうすんの。》なんて言われましたが、私も意地っ張りで聞く耳持たず状態で、抱っこしながら水の中を歩き回り、彼を慣れさせていました。
《初めだからだよ、待っててみな、なれれば大丈夫だから》
と理由もなく、反論をしていましたね。
そうしているうちに彼は慣れてきたのか泣かなくなったんです。

ゆっくりとそして水の流れを感じさせながら、歩き回り、上下にしながら浮かんでいるようにしました。
かなりの長い時間入っていましたね、うすら覚えなんですが、2、3時間は歩いていました。

そのうち彼は私の背中で気持ちよく寝てしまったんですよ。
今でも覚えているのが、水の中で彼の温かさと鼓動が背中に伝わるんです。
力強く打つ鼓動に彼の力を感じていました。言葉なんていらない。
これから先も一緒にいたい、彼と妻とこれから産まれてくる子供とともに。

こうしているうちに昼も過ぎ、夕方に向かいました。