喜びの中で夏は満喫していました。
休みの日には海や渓流のある山に行って楽しむといったようでした。

沢山の思い出という宝を作る事が出来たんです。

私の中で生きるための力になり、活力になっています。

この頃から何か考え方が変わって来たように思えました。
私もやはりなんでうちだけがという観念が拭い切れていなかったんですよ。

やはり1人の人として、健康な子がいいと周りの子と比べていたんでしょうね。
でも思い出が増えれば増えるほど何ていうんでしょうね、楽しんですよ、逆に彼でなくてはいけないんです。

自信も今まで以上に持て始めてきました。

彼は私の息子だ、彼こそが私の息子なんだと。

手を握りしめ、一緒に歩いた時など少しずつ感じるんです。
大きくなっていく手が。
カサカサしてるなとか、スベスベしてるな、ワクワクしてるのかな、怖がってるのかな、いろいろ手から伝わるものが、私の心に伝わるんです。

そんな中一番私の心に響いたのは、ある日いつものように手を引き、歩いていると手を握り返してきたんです。
驚きました、握り返してきたんですよ。
私に何を訴えかけてきたのか、未だに分かりませんが、私はたぶん《パパ》って言ってくれたんじゃないかと今も思っています。

一つの出来事が彼からの訴えだと思えるようになったんですよ。
これが考えを変えた出来事なんです。