楽しい時間というのは、本当に速いんですよ。
あっという間に着いてしまいました。
天高く澄んだ青い空と白い砂浜、エメラルドグリーンに輝く海に、私は居てもたってもいられない。
まだあまり観光客も居なく、貸し切り状態でしたので、彼に対しても何の心配もなく、気持ち的にも楽で、素直に居心地が最高でした。
いつも周りを考え、彼から目を離せず、気を抜くことすら出来ずにいましたから。
しかし海は転んでも砂浜で怪我の心配も少なく、車がくる訳もなく、障害物が無いため、少し離れていても、何処にいるかすぐにわかる。

彼も自由に動き回り、波うち際に行っては、冷たいんですが、じっと波を感じては、大声を挙げて笑ったりしていました。
やはりたまには奇声をあげたりしていましたが、気になりません。大自然が彼を包み込んでくれているようでした。

私は彼の担当し、いつも私より何十倍も頑張っている妻に楽しい時間を味わって貰おうと思い、
〔ゆっくりしな、彼は俺が見てるから〕

一緒に頑張ろうという割りに、妻の手助けさえ出来ず、負担ばかりかけてしまっている為に、細やかなほっとする時間をあげたかったんです。

私は彼と思い切って遊びました。砂で足を埋めてみたり、水を軽くかけたりして、笑いながら、心通わせてる気分でした。彼にはいつか伝わる筈だと思いながらも、私の心は満たされていきました。
彼が私達の息子で良かったと再確認しました。以前テレビでやっていたんですが、神様は私達なら彼を幸せに出来ると授けてくれている、私達だから彼が生まれた、私達でなければ生まれなかったと言っていた言葉を思い出したんです。

私も思いますね、途中で投げ出さず、ぶつかって行ける、彼を正面から見る事が出来ると。

家族の時間が一つ一つ私達、そして彼に刻まれ、思い出として残る。
そしてまた一つ、彼の楽しい場所を見つけ、居場所や行き場を作る事が出来ると。

限りある時間の中で、私は数多くの行き場作りをして行こうと、私にとっても目標がまた一つ、増えたんです。そして日が傾きかけた頃帰路に向かいました。