ふっとたぶん10、15秒だったと思うんですが、近所の人と話をして意識が彼からなくなり、目を離してしまったんです。
彼は私の目の前にはいなく、道路を歩いていってました。
前には左カーブの曲がり角がある道で、私が彼を探した時悪夢が目に飛び込んできたんです。私の位置から車が来ていたんです。あまり減速をするカーブではなかったので、スピードもそれなりにでているように見えたのです。やはり直線に入っても減速せず、彼も車に怖さを感じていない。〔だめだ、間に合わない、引かれる、彼が怪我をする、血がでる、痛いだろう、救急車、手術、助かるか、ダメか、ここまで来たんだろ、俺の息子だろ。〕
連鎖反応のように広がる予測、そして後悔、〔俺が目を離してしまったばっかりに、どうしよう、何してんだ。〕

と、これらが一瞬のうちに思い、同時に身体は彼に向かっていました。

両手を挙げ、大声をだし、運転手に向けて〔気付いてくれ〕とばかりに。
全力疾走で走りながら。
ギリギリの所で運転手と目が合い、止まってくれたんです。
彼まで2、3M位でした。
〔助かった〕
と、彼を真っ先に抱きしめました。
彼はキョトンと、運転手もキョトンとしていた顔が今でも脳裏に焼き付いています。
冷静に戻ると、近所の人が皆出てきていて、〔どうしたの?〕
私も声が大きい方なので皆ビックリしてしまったんです。

本当に大事に至らなくて良かった。
もし彼が居なくなることを考えたらと。
彼は既に私の中に居場所があり、家族の一員であり、人生の全てだと再認識しました。
彼自身が居場所を作ってくれていたんですね、生きている事の意味を彼が。

そして彼の居場所として、もう一つわかりました。