やっぱり家が一番だと思いました。ほっと一息つける温かい空間で私達は再出発を果たしました。
彼が帰ってきただけで静まりかえっていた家が明るく最高なんです。
介護にしたら大変でしたよ、私は仕事が夜中からでしたので、夕飯には間に合っていました。自分では食べられないので、いつも介助をして、身体も大きくなり風呂も重たくて私がいないときは、妻は大変だったでしょう。帰ってきた我が家は彼がいることもありますが、落ち着いていられました。やはり初日、2日目は心配で心配でなかなか寝られませんでしたが、だんだんと生活リズムが出来てきました。彼もみるみる内に行動が甦っていきました。寝返りが始まり、更にハイハイとそして3ヶ月位経った頃捕まり立ちをしたんです。一年ぶりに発症前に戻ったんですよ。
細くなってしまった二本の足でぐらぐらしながら、力強く立ち上がった姿は心底〔よかった〕の一言につきません。

この時に彼の子供の未知なる成長に期待し、何処までの成長か、どのような成長かわからないが、手伝っていこうと、見届けていこうと心に決めたのです。
目の前に生きるパワーがみなぎって居ましたので、私も力をもらっていたんでしょう。
そして妻が動きだしたのです。
初めて行ったとき、私の人生観が覆されました。

私達はやはり障害をもってしまった彼を人に合わせることが初めてでしたので、少なからず後ろめたい気持ちはありました。

彼は私達の息子だからという気持ちを持ちあわせている反面、どんな顔をされるんだろうという社会的な問題は考えてしまうのは、今の日本文化の象徴でしょうか。

当日私達の気持ちとはかけはなれた現実を目のあたりにするとは、この時には思いもしませんでした。