夜の量を増やし、肝機能に障害が出ないように調整をしたんです。まさしく奇跡でした、1日、2日と発作がなく、彼も身体的に楽になり日に日に容体が回復に向かってきました。
知的に対してはやはり障害がでていますが、身体を反転したり、うつ伏せになったりと、声も〔ウーウー〕といったものも出始めていきました。点滴も外れ潰した状態のお粥や汁物なども食べ始めたのです。
私達は判断を誤ったのかな、薬を使えばよかったかな、結果論に過ぎないだろなど、とまればとまったで又自問自答をしてしまうんですよ。

そしてある日、最大の喜びが待っていました。面会時間になり真っ先に彼の病室に向かうと笑顔で笑う彼がいたんです。ほっとしました、よかったという思いが彼にも伝わったのでしょうか、更に笑顔で。
私達の方は向いてくれていませんし、目も合わせる事は出来ませんが、やはり私達に対して微笑みかけてくれているようでした。

〔なあ、笑ってるよ、よかったな、頑張ったかいがあったな〕

そんな会話が続き、長いトンネルに光が差したんです。

数日後医師に退院の時期は何時にという相談とこれからの事について説明がありました。
〔まず歩けるか歩けないかは彼次第だと、喋れるか喋れないかも難しい、知的には子供の成長は早く判断しずらいが難しいでしょう。〕

このような内容だったと思いますが、全てわからないとの結論でした。
それでも私達は可能性を残してくれたんだと理解し

〔大丈夫です、ありがとうございました、これからも宜しくお願いします〕

と声をかけ、退室しました。希望に満ち溢れた中で今の彼がいれば何でもよかったんです。

退院の当日も笑顔で病院を後にできました。
やっと家での生活の始まりです。