なぜなら薬をもうこれ以上投与出来ないのです。

〔どうにかして下さい、先生、早く止めないと。〕

点滴を入れて、医師すら時間をもう少し置かないと手が打てないといいなすすべが無いんです。
弱くなって収まるかなと思っても、目が抜けなくまた激しい硬直が始まるといった感じでした。
妻は医師に詰めより

〔どうすればいいんですか、入院中一回も無いってことはウソだ、こんなに頑張ってる彼を、命は命は。〕

妻が言うように彼の発作でもう一つ良くない状況がありました。
息を止めてしまうんです。唇はチアノーゼになり蒼く血の気が引いてしまい、脳へのダメージも息を止めてしまう発作は影響が出やすいんです。

何回の発作が続いたんでしょうか、医師すら始めての経験だというくらい止まらなかったんです。
医師が
〔私も始めてこんな重責を見ました。今の薬だけでは対応しきれていないので、明日からもう一剤増やしましょう。〕

と言われました。
今回の発作の型が部分発作の型らしく作用効果のある薬を合わせるとのことでした。
薬の名前を忘れてしまいましたが、更に小さな身体に負担をかけなければならないと思うといてもたってもいられなかったですよ。

私は薬が嫌いで飲まない方がいいに決まっていると考えていましたし、やはり毒だと思いますから、しかしやむを得ず飲まなくてはならない状態ですから、仕方がないでしょと自分に言い聞かせながら。

病室に行き、彼の寝顔をみては

〔よく頑張ったね、よく頑張ったね〕

と涙ながらに座り込む妻がいました。

少しして妻が立ち上がり看護師と医師に相談に行ったんです。

なんと妻の切実な思いが伝わり、一緒に病室にいていいというんです。
病院側も始めてにして状況を確認した上で判断されたようです。

24時間一緒にいられることと一回の発作も見落とさないぞという気持ちとどうにかしたいという一心から。