一週間が過ぎ彼もだいぶ回復に向かい、麻痺の残っていた右側も抜け、言葉もにわかに戻りだしたんです。

〔パパ、ママ、まんま〕

といった具合に。
人は良くなって回復してくると病気が治ったかの意識が芽生え、もう起こらないだろうとか薬飲んでるから大丈夫だと思い込んでしまうんですよ。
退院の話が出て、あと2・3日発作がなければ自宅で見る事にしようと帰れる喜びに胸が熱くなっていました。
〔あと少しで帰れるから頑張ろうな〕

と呼び掛け、帰り際にはベットの柵に掴まり立ちをして淋しさのあまり泣いたり、ずっと彼が私達の背を目で追いかけている姿がありました。

〔淋しいな、やっぱり家族の一員として存在感があるな、いないと落ち着かないというか俺達の間が居場所になってるよな〕

などと話しながら彼が生きて元気になってきた実感を感じていました。

そして退院の日が来ました。