☆美弥side
先輩と一緒に帰った次の日。
そこからイジメは始まった
首謀者は、わかってる
梓だ
最初は、
無視から始まった
しかも、
梓だけじゃなく、仲の良かった
友だち、全員が
まぁ、当たり前か
自分がいじめられたくないしね
梓にはむかったらどうなるかくらい、
私が1番知ってる
「無視の次は、
古臭いイジメかよ・・・」
靴の中に画びょう。
(しかも、学校の)
自転車のタイヤ、パンク
(学校の画びょうで)
水やりしてて、水ぶっかけられる
(もちろん、わざと)
ありきたりないじめの後は、
悪口、陰口言いたい放題・・・
精神的に、まいる
誰も、助けてくれない
というか、助けられない
梓らしい。
イジメは徹底的に、
先生にも、友だちにもばれないように
計画的にいじめてくる
自分の仲間になりそうなやつには
イジメの参加をさせて、
玲奈や、雅弥にはイジメのことを
決して言わない
だから、助けを求められない
イジメをしていると、
証拠がないから
だから私は、
屋上に逃げた
授業も出ずに、
ただ、蒼空を見るためだけに来た
「綺麗だな・・・」
寝転がり、蒼空を仰ぐ
ここまで来ると、
全てを壊したくなる
静かな学校
友だち関係
梓、自体も・・・
「・・・ははっ、狂ってきてる。
そろそろ、この力も発揮する頃か」
死にたい
こんな思いをするなら、
死ぬ方がましな気がする・・・
そっと、
フェンスを上る
・・・マジ怖い
高所恐怖症の私からすると、
神経の半分は、今死んだ
・・・降りよう
これでは、死ねない
「・・・寝てよ」
辛いのに、
死ぬことも出来なくて・・・
吐いた言葉は、
本当に思ってたことと違う
こんなにうまくいかないことなんて
今までになかったから・・・
ただ、
我慢することしか出来なかった
☆玲奈side
「美弥、もう先生に言おう」
「大丈夫。まだ、頑張れる」
美弥へのイジメは
1年の秋から
2年の冬まで続いた
1年間、美弥は先生に言わなかった
誰かが言おうとすると、
全力で止めた
『まだ、整ってない』
そう言って・・・我慢してた
だけど、
もう・・・酷過ぎる
服で見えない所に
あざが出来ているのを、
今日の体育の時間に気付いた
美弥がいじめられているのを知って
もう、耐えられない
「このままじゃ、
もっとエスカレートするよ!
私、先生に言ってくるから」
放課後、2人きりになった時に
そう言った
だけど・・・
「玲奈、私にかかわらないで」
「・・・っ、だけど・・・!」
「大丈夫。耐えられなくなったら、
堂々と暴れるつもりだから、ね?」
にっこりと、
イジメなんかされてないように微笑む
その目は、かすかに赤かった
「・・・美弥、目、赤いけど
それ大丈夫なの?
病院行った方がいいよ」
「・・・あ、うん。
明日でも行こうかな」
「・・・何かあったら
絶対に言って。約束して」
「わかってるって!
玲奈、また明日ね~」
「うん。また明日」
『また明日』
明日は・・・
最悪の日となることを
誰も予想していなかった
☆美弥side
「ただいま~」
バスケに行かずに早く帰ると、
母さんが玄関で待っていた
「・・・どうしたの?」
「・・・今日、玲奈ちゃんから聞いた」
深刻そうな顔と、
今日、玲奈に呼ばれたことで何のことか
大体の予想はつく
あれだけ、言うなって言ったのに・・・
「大したことないから。
気にしないでいいから」
「・・・実の娘がいじめられてて、
気にしない母はいないわよ」
「大丈夫。
母さんが思ってるほど
辛いことじゃない。
ただ・・・暴走しても怒らないでね」
いつ、我慢が解かれるかわからない
だから・・・先に言っておく
「・・・壊れる前に、
暴れてもいいと思う」
私の母さんは、
少し変わってると思う
普通、
学校でもめ事を起こすのを
止めるはずなのに・・・
暴れるって・・・
まぁ、こういう母さんだから
助かるんだけど
「話はそれだけだよね?
ちょっと眠たいから、
後で起こしてくれない?」
そう言って、部屋に入る
明日、
最悪な日まで
あと少し―。