研究室で明日の授業の準備していても



さっきの彼のことが気になる。




櫻木先生、はたから見ればとっつきにくいのかな。




いつもなんか考え事してるみたいだし。



話しかけて断られたらどうしよう。



ううん。



大丈夫だと思う。




内線でちょっと電話かけてさっきのこと謝ろうかな。



さっき慌てて話せなかったし。



そうしよ。



プルルル


「あの、櫻木先生ですか…。私、さっきぶつかってしまった文学部教授の滝本です。」




「はい。そうですか。すいませんでした。さっきは。忙しいので…、切ってもいいですか?」


「ちょっと待ってください…。謝ろうと思って掛けたんです。本当にすみませんでした。考え事して歩いてたんで、向かい側から先生が来ることが分かんなかったんです。」