補習の日を迎える朝。

心の中は複雑で。

2人になることの緊張とか、

あたしのしていることへの

やましさとか。

それでも2人なのは嬉しくて。





「笑ってなきゃ…」




鏡に向かって笑う練習をする。

1つの言葉で動揺してちゃ

いけないから。




「よし。行こ」




荷物を持って家を出る。

外はいい天気で、今夏

最高気温を回っている。

そんな中。




「…いるじゃん」




教室は締め切られていた。

暑いから冷房でもつけて

待っていてあげよう。

そう思って少し早く

教室に向かったのに。

いつも解放感で溢れている

教室は隙間の1つも

なく、ドアが閉められている。

中に入れば、机に突っ伏している

矢野くんの姿があった。





「寝てんの…?」




スヤスヤ寝息を立てる矢野くん。

寒いくらい冷えている教室。

一体何時間待っていたのか。