「…だから、朝比奈先生にお願いなんだけど」
「あ、あたし全部1人で補習するんで、大丈夫ですよ?」
なんだ。
聞かなくても、
あたし当てにされてんじゃん。
「あ、本当?助かるわぁ。ごめんなさいねぇ」
おほほほ、と嬉しそうに
甲高い笑いを響かせて自分の
席に戻って行った。
…よかった、とでも
言っていいのだろうか。
あたし、残りの夏休みの少しを
矢野くんの2人で過ごせるんだ。
補習とはいえ、2人きりなわけで。
「耐えられんのかな…、あたし」
ぼそっと呟いて、
ウキウキやらドキドキやら
分かんない感情を秘め、
自分の席に戻った。