「どうして海斗はあたしを怒るのかな。

あたしは悪い子。

だから怒るのだ。」

走りながらこいぬはひたすら自分を責め続けました。

「あたしは海斗のそばにいちゃいけない。

海斗を怒らせるのもあたしがいるからだもん。」



吸い込まれそうな暗い空から白く冷たい雪が降ってきました。

こいぬは空を見上げました。

「あたしは今朝何をしたのだろう。

海斗の気にさわるいたずらして、何の役にもたってないよ。

もしかしたら怒らせることでいつも考えていてほしかったのかな。

でもそれは…海斗に通じてなかった。」

走り疲れたこいぬはそのまま横たわり、スヤスヤと眠りにつきました。