「えっ?」


「出来てしまった、と言うべきですかね?」


「ど、どういう事よ?」


「つまり、あなたは僕の呼び出しに応じ、こうしてホテルの部屋にまで来てしまった。それは何より、僕の想像が今でも正しかったという事の証拠ですよね? もっとも、僕の作り話だと言い張れば、ごまかす事は可能かもしれませんが」


 悔しいけど、確かにそうだ。ホテルに行ってないと嘘をつくのは、私にはうまく出来そうにないし、見苦しくて嫌だ。


 もう、諦めるしかないのね……


 私は体中から力が抜け、ヘナヘナとまた椅子に座った。


「納得してくれましたか?」


 憎たらしい小柳君の言い草に、私は言い返す気力もなく、


「……好きにして」


 とだけ、言っていた。