どうやら和也は酔っ払っているらしい。それと、久しぶりに旧友に会って、気分がハイになっているのだろう。私はホッとして、


「何の用?」


 と、ようやく普段の姉としての私らしく、無愛想にそう言った。


『あのさ、今三次会やってんだけど、みんなが姉貴に会いたいって言うからさ……』


 確かに、周りの騒がしい声が聞こえている。


「はあ? どういう事」


『だからさ、こっちに来れないかな? 駅前のスナックにいるんだけど……』


「何言ってんのよ。行くわけないでしょ? 私、もう寝る体勢だし……」


『だよね? ごめん、ごめん』


「当たり前よ。悪いけど、みんなによろしく言っといて?」


『ん、わかった』


 和也はあっさり諦めたようで、私はそこで通話を切ろうとしたのだけど……


『あー、ちょっと待って! 小柳がさ……』


 と和也が言い、私はギクッとした。小柳君の名前に。