コンコンと和也の部屋のドアをノックし、中からの応答を待ったけど返事がない。

 あれ、お風呂かな? それとも寝ちゃった?


 このところ、私も和也も会社から真っ直ぐ帰宅していて、今夜も両親と私達家族4人で食卓を囲み、遅い晩御飯を食べた。

 その時、和也は部屋着に着替えていたから、たぶん出掛けてはいないと思うんだけど……


 もう一度ノックしようとしたら、カチャッと音がしてドアが内側に開いた。


「誰かと思ったら、姉貴か……」


 和也は私を見て、意外そうな顔でそう言った。そう言えば、こんな夜遅くに和也の部屋を訪れるのは、すごく珍しいかもしれない。私自身、いつ以来か覚えていないくらいに。


 アブナイ状況になるのを自ら予防して、それをしないようにしてたのに、それをこの時の私はすっかり忘れていた。