あの時、私はどうやって小柳君の口を封じたんだっけ?

 うーん……、ああ、思い出した。取引したんだ。キスを1回させてくれたら、黙っててあげるって言われて。それで本当に黙っててくれたし、それ以上は要求して来なかった。


 当時の小柳君って、律儀というか、うぶというか……



「今度さ、高校の同窓会があるんだよ」


「え、あ、そうなんだ。それは楽しみね」


「まあね」


 なるほど、それで和也は高校の頃の話を始めたわけね。

 あ。ちょっと待って。それってまずくない?


「小柳君も来るの?」


「来ると思うよ。あいつとは3年のクラスも一緒だったから」


 あちゃー。ばらされたら、どうしよう……