その後は、母に怪しまれる事はなくなった。なぜなら、私達は怪しまれるような事は一切しなくなったから。母からは、


「この頃あんたと和也、あまり仲良さそうじゃないわね? 喧嘩でもしたの?」


 なんて言われたぐらい。


「別に……」


 と素っ気なく私が答えると、


「そう? 一時はすごく仲良さそうに見えたけどね……」


 と母は首を捻っていた。


 私は毎日が欲求不満で、辛くて辛くて堪らなかった。同じ家に、しかも壁一枚隔てた隣の部屋に愛しい人がいるというのに、彼に触れる事はもちろん、会話する事もままならない日々。


 でも、二人で決めた事なのだから、我慢するほかなかった。