「姉貴は変わっちまったよな……」


「そう?」


 変わったと言うより、堕ちたと言うべきだわ。和也もそう思ってるとは思うけど。


 自分でもどんどん自分が嫌いになってる。いっそ病気とか事故で、死んでしまえばいい。こんな人生なんか、もうイヤ。


「高校の時の姉貴は、凄かったのになぁ」


「凄いって、何が?」


「何が、じゃねえよ。全校生徒の憧れの的だったんだぜ?」


「全校……って、大袈裟ね。だったら、あんたも私に憧れてたって事になるわよ?」


 そう。私と和也は同じ高校の出身。私が3年の時、和也は1年だった。

 私は生徒会長で成績はまあまあ。文化祭のミスコンで優勝したりして、確かに目立ってたと思う。言ってみれば“過去の栄光”ってやつだわね。


「まあな」


 過去に思いを馳せていたら、和也がそう呟いた。あれ? 何に対する“まあな”だっけ?