ちょ、ちょっと待って。なんでそういう流れになるの? 私ったら、パニクってる場合じゃないわ!


「そんなのダメよ!」


 私は立ち上がって和也の背中にすがりつき、イヤイヤをするように頭を振った。和也がこの家を出て、もう会えなくなるなんて、絶対イヤ!


「姉貴……?」


 そうだ。私も言わなくちゃ。私の和也への気持ちを。和也はちっとも分かってないみたいだから……


「和也、あのね……」


「あ、そうだ……」


 言おうとしたけど、和也の言葉で遮られてしまった。


「あのね、私ね……」


 それでも言おうとしたのだけど、


「最後に姉貴に聞きたい事があるんだ」


 言わせてもらえない。しかも“最後に”ってなによ? そんな悲しい事言わないでよ……


「姉貴の好きな人って、誰?」


「へ?」