「う、嘘? なんの事かなぁ……」


 私は横を向いたまま惚けたのだけど、グイッと腕を引かれて和也の正面に向かされてしまった。


「小柳と会ってたんだろ?」


「えっ?」


 なんでそれを……。あ、そうか。小柳君が和也に言ったに違いない。『カマをかける』とか言ってたから。としても、何て余計な事をしてくれたのかしら。私は、どうしたらいいのよ……


「やっぱり本当なんだ?」


「ご、ごめんなさい……」


「どこで会ったんだよ?」


「ど、どこって、それは……」


 まさか正直にホテルなんて言えない。その後で小柳君とはレストランに行ったから、うん、レストランって言おう。そう思ったのだけど……


「……ホテルで会ったって、本当なのか?」