鍵でドアを開け、なるべく物音をさせないよう階段に向かって歩いたら、居間のドアが開いていて、中から煌々と明かりが漏れていた。


 両親はもう寝ているはずの時刻だから、和也が居間にいる可能性が高い。よりによって、今は一番見つかりたくない和也が……


 和也に見つかる前にと思い、急いで階段を上がりかけたのだけど、


「遅かったな?」


 背後から声を掛けられてしまった。それはもちろん和也からで、いつもよりも更に低く、咎めるような声の響きだった。


 私はピタッと足を止めると、恐る恐る後ろを振り返った。すると和也は、壁に手を着き、強い目をして私を見上げていた。