「オマエ、愛想つかされたんじゃねぇの?」
予備校の帰りに立ち寄ったファーストフード店で、
勇太がハンバーガーを頬張りながら言った。
本人は自覚していないだろうが、勇太の一言は時々グサッと突き刺さる。
「ったく……
親友がへこんでる時によくそんなこと言えるな」
笑って誤魔化してみたけど、
勇太の言ったことは、この1ヶ月間、ずっと俺の頭から離れない言葉だった。
そのせいか、トレーに置かれたポテトは、まだ1本も口にしていないのにすっかり冷めてしまっている。
22時。
こんなに遅くまで、夕飯も食べずに授業を受け、
腹は相当空いているはずだ。
だけど、どうしても食べる気になれない。
そんな俺を見かねてか、勇太が再び口を開く。
「どうせオマエのことだから、次は沙羅ちゃんの番だとかって考えてんだろ?
そんなつまらない意地張ってないでさ。
連絡……してみればいいじゃん」
「……」
近くの駅にちょうど電車が着いたのだろうか。
窓の外には、仕事を終えたサラリーマンたちがたくさん歩いていた。