「ヒナ、まだ学校来ないのかな?」
「たぶん勝負の日まで来ねぇよ。学校来るヒマあったら家でピアノ弾いてる。
そんな奴だよ、あいつは」
雛月も頑張ってるんだな。
「元気そうだった?」
「まぁまぁ元気そうだったかな。もう心配ねぇよ」
「良かった」
桐野は安心したように息をついた。
嬉しそうな顔をしてるのはきっと気のせいじゃないだろう。
雛月がいない間、桐野も普段より余計に元気がなかったから。
「二人とも本気なら俺も真面目に練習しようかな。
手を抜いたら風沢に失礼だし?」
仕方ないからもう少し付き合ってあげるよ。
本当の理由は別にあるなんて絶対教えてあげないけど。